国民民主党の玉木雄一郎代表が11月27日、石破首相と官邸で会談し、原発の再稼働や建て替え、新増設を次のエネルギー基本計画に明記するよう求める提言書を手渡したそうです。
【申し入れ】「第7次エネルギー基本計画に対する要請」を内閣総理大臣に申入れ | 新・国民民主党 - つくろう、新しい答え。
首相、国民民主・玉木雄一郎代表に異例の厚遇 エネ基で提言、官邸で会談 - 産経ニュース
もし、次期エネルギー基本計画に原発の新増設が盛り込まれたら、中断していた上関原発計画が、再び動き出すかもしれません。
以下では、これまでの政府方針や国民民主党の政策について、簡単におさらいしておこうと思います。
エネルギー基本計画おさらい
エネルギー基本計画とは、国の中長期的なエネルギーの基本的な方向性を示す計画のことです。経済産業省が、総合資源エネルギー調査会に有識者を招聘し議論して作っています。2003年に第1次計画が定められて以降、おおよそ3年ごとに見直されています。
エネルギー基本計画|きょうのことばセレクション 詳細|経済ナレッジバンク|日経をヨクヨムためのナビサイト - nikkei4946.com
現在は、2021年10月22日に閣議決定された第6次エネルギー基本計画の期間中です。
現行の計画には、前年10月に菅内閣(当時)が表明した「2050年カーボンニュートラル」や、その後の新たな温室効果ガス削減目標の実現に向け、2030年までのエネルギー構成比率や二酸化炭素排出用の削減目標、エネルギー自給率の目標などが定められています。
【1分解説】エネルギー基本計画とは? | 牧之内 芽衣 | 第一生命経済研究所
第6次エネルギー基本計画が閣議決定されました (METI/経済産業省)
ですが、この時点では、原発の建て替えや新増設などは、計画では触れられていませんでした。
岸田政権の方針転換
風向きを大きく変えたのが、2022年8月24日開催の第2回GX実行会議でした。岸田文雄首相(当時)が、次世代原発の開発・建設を検討する方針を打ち出したのです。
それまで政府は、原発の新増設・リプレース(建て替え)は「想定していない」との立場でした。岸田政権はこの方針を、大きく転換したことになります。他に、最長60年としてきた原発の運転期間の延長を検討することなどが盛り込まれました。
岸田首相、原発の新増設の検討を指示 正式決定なら国策の大転換:朝日新聞デジタル
岸田文雄首相、次世代原発の建設検討を指示 来夏以降17基再稼働 - 日本経済新聞
そしてちょうど今、第7次のエネルギー基本計画を策定している最中になります。経済産業省は、今年度中に策定するよう12月中に素案をまとめているそうです。
国民 新エネルギー基本計画に再エネ推進などの案 首相に要請へ | NHK | 経済産業省
国民民主党の政策
国民民主党の公式サイトによると、同党は当初、2030年代の原発ゼロを目指していたようですが、その後の党内の議論を経て、「より現実的な政策」に転換した模様です。
理念と政策の方向性 | 新・国民民主党 - つくろう、新しい答え。
原発政策については、国有化を含めた国の責任の明確化と、計画的な人材育成・確保により、2030年代原発ゼロをめざし、あらゆる政策資源を投入します※。
※党エネルギー調査会の議論を経て、より現実的な政策にアップデートされています。
山口県議会の構成
話は飛びますが、ここで参考までに、山口県議会の構成を確認しておきます。
全47議員のうち、自民党28名、公明党5名。やまぐち県政会というのが国民民主党系の会派で、4名です。
祝島を中心に原発計画や中間貯蔵施設の計画に反対している人たちが、どれだけ厳しい状況に置かれているか。これだけでも想像できるのではないでしょうか。
それにしても
前掲の産経新聞の記事によると、首相が野党からの申し入れを受けるのは国会内が多いそうで、官邸で受けるというのは異例の厚遇なのだそうです。
前掲、同党公式サイトのトピックスに掲載されている玉木代表の表情は、どことなく得意げに見えます。政治のキャスティングボートを握ってご満悦なのでしょう。
その判断の重みを自覚しているような厳粛さは、微塵も感じられません。