使用済み核燃料の中間貯蔵施設は、大きく分けてふたつの方式があります。
※以下、対策の強化と貯蔵方法|使用済燃料貯蔵対策の取り組み|電気事業連合会 のサイトを参考にしました。
湿式;水の入ったプールの中に貯蔵する方式
原子炉から取り出された「使用済燃料」は高温で放射線量も高いので、まずは施設内の燃料プールで水に浸し、冷却と同時に放射線の遮蔽を行います。水はモーターで循環させておく必要があります。これが「湿式」です。
乾式;金属キャスクに入れて貯蔵する方式
一方、湿式で十分冷却した燃料を、「キャスク」と呼ばれる金属容器に入れて保管します。冷却は、空気の自然対流で行います。
上関では、乾式の施設が検討されています。
国内で乾式の貯蔵施設があるのは、東海第二原発施設内のものと、原発施設外で初となる青森県むつ市の中間貯蔵施設(2024年1月現在未稼働)の2か所です。
東海第二原発の敷地内にあるのは、建屋規模が54m×26m×高さ21mで、約250トンの貯蔵容量がある施設です。2001年から運用が始まっています。
むつ市では、建屋規模が約62m×約131m×高さ約28mの施設が完成し、3000トンの「使用済燃料」の貯蔵を見込んでいます。その後第二棟を建設し、最終的に5000トンを貯蔵する計画のようです。
また、浜岡、伊方、玄海原発の各施設内に設置が検討されているそうです。
- 2015年1月、中部電力、浜岡原子力発電所の敷地内乾式貯蔵施設の設置変更許可を申請
- 2020年9月、四国電力、伊方原子力発電所敷地内乾式貯蔵施設の設置変更許可を取得。
- 2021年4月、九州電力、玄海原子力発電所敷地内乾式貯蔵施設の設置変更許可を取得
対策の強化と貯蔵方法 - 使用済燃料の貯蔵対策 | 電気事業連合会
むつ市以外は、いずれも原発の敷地内であることに留意しておきたいと思います。いくら頑丈なキャスクに収めたからといって、使用済みの核燃料を移動させるのは、移動距離が長ければ長いほど相応のリスクが伴います。
上関は、原発敷地外の2例目の施設として調査が始まろうとしています。