上関原発・中間貯蔵施設私的まとめ

アラ還おやじが素人なりに学習した記録です。

計画地周辺の自然環境

2024年7月8日、瀬戸内海の環境保全に取り組む「環瀬戸内海会議」という市民団体が、上関の使用済み核燃料中間貯蔵施設の建設計画に伴う港湾建設などを禁止するよう、山口県に求めたと報道されました。(KRY山口放送TYSテレビ山口

報道をまとめると、計画地周辺海域は生物多様性保全のために管理される「海洋保護区」に指定されており、原発や中間貯蔵施設建設に伴う埋立や港湾建設などの工事がそれを脅かす可能性を訴えているようです。

ここでは、計画地周辺の自然環境が実際のところどうなのか、環境省HPに従って簡単にまとめてみたいと思います。

 

海洋保護区とは

海洋保護区については、環境省HPで説明されています。

環境省_海とのつきあい方:”海洋保護区”で守る|海洋生物多様性保全戦略公式サイト

用語解説には、「海の生態系保全を目的とした自然保護区の一般的な呼称」と説明があります。

環境省_海とのつきあい方:”海洋保護区”で守る|海洋生物多様性保全戦略公式サイト

ただ、一言で海と言っても環境条件は千差万別なので、一律な基準がある訳でもないようです。その海域の特長などを踏まえ、個別に検討されているようです。

生物多様性の観点から重要度の高い海域

海洋の生物多様性を守るため、科学的・客観的に明らかにされたものが「生物多様性の観点から重要度の高い海域」ということです。2011年度からの3年間にわたる検討の結果、沿岸域では270カ所、沖合表層域では20カ所、沖合海底域では31カ所が抽出されているそうです。

環境省_生物多様性の観点から重要度の高い海域

その中には、上関町の長島・祝島の海域も含まれています。県に申し入れを行った団体は、このことを指摘しているのだろうと思われます。

計画地周辺の自然環境

生物多様性の観点から重要度の高い海域のひとつとして、上関の長島・祝島周辺が指定されていることは、環境省HPで確認できます。

環境省_長島・祝島周辺 | 生物多様性の観点から重要度の高い海域

※閲覧環境によっては海域図がみられないことがあるようなので、一応画像を貼っておきます。環境省_ダウンロード | 生物多様性の観点から重要度の高い海域 (env.go.jp)のページにある沿岸域のPDFファイルから、長島・祝島部分を切り出しました。

 

そこでは、同海域は次のように評価されています。

長島、祝島宇和島周辺の海岸は、護岸のない自然海岸が多く、瀬戸内海のかつての生物多様性を色濃く残す場所である。岩礁海岸ではガラモ場が非常によく発達しており、生産性も高い。祝島と長島を隔てる水道はタイの漁場として有名であり、スナメリやカンムリウミスズメが目撃されている。

その他、生物情報として、コアジサシという鳥類が営巣・繁殖する地域に隣接した海域であること、イカナゴやヒラメ、マダイの産卵海域であることなどが明かされています。

もし、ここに原発や中間貯蔵施設を建設したら

まず、原発建設予定地は大規模に埋め立てられることになります。また、資材運搬用の道路が長島の山林を貫き、あるいは海岸沿いを埋め立てて整備されるでしょう。

中間貯蔵施設を建設する場合、昨年8月の伴英幸氏の講演会(末尾リンク参照)によると、使用済み核燃料を収納した金属キャスクを運搬する船が接岸するための港湾が必要になります。また、キャスクは110トンの重量物であり、運搬車は15度以上の傾斜は登れないため、長島の急峻な山林部分はざっくり掘削せねばならなくなるようです。

そうなると、護岸のない自然海岸が一気に失われ、海域の生産性はどうなるか、魚たちの産卵海域はどんな影響を受けるか、貴重な鳥類の営巣地はどうなるか、科学的な検証を待つまでもなく想像できるんじゃないかと思います。

 

注目点(1)必要な施設群;伴英幸氏の講演会より - 上関原発・中間貯蔵施設私的まとめ

注目点(2)日本原燃の港;伴英幸氏の講演会より - 上関原発・中間貯蔵施設私的まとめ

注目点(3)使用済燃料の輸送船;伴英幸氏の講演会より - 上関原発・中間貯蔵施設私的まとめ

注目点(4)専用道路が不可欠;伴英幸氏の講演会より - 上関原発・中間貯蔵施設私的まとめ

注目点(5)むつ市にある中間貯蔵施設;伴英幸氏の講演会より - 上関原発・中間貯蔵施設私的まとめ

注目点(6)上関に当てはめると、例えば;伴英幸氏の講演会より - 上関原発・中間貯蔵施設私的まとめ